幽霊は見える人には見える。
そう確信した時が人生で3度ある。
今回は最後の3度目、専門学校生の時の話。
僕が入学した専門学校は開校して2年目。女子寮は1年目からあったが、男子生徒専用のアパートが2年目から学校の近くの山に作られて僕はそのできたばかりの新築アパートに住むことになった。1階の角部屋だった。
専門学校に入学して1年目の時、僕の部屋に学生友達が集まって「怖い話」をした時があった。その時に一人の同期の友達が「おい、お前の部屋やべえな。なんか、空調のところ嫌な感じがするぞ。」
なんだよと思ったが、聞き流していると、そいつが続けて
「おい、多分この部屋やばいから盛り塩しとくぜ」
なんて面倒な奴だ。と思ったが、そいつはみんながあっけにとられているのもかまわずに僕のキッチンから塩を取り出して部屋の四隅にティッシュを置き、塩を盛りだした。
僕は「なんなんだよー」と思っていた。
それから2年後、部屋の掃除をしてたら、部屋の四隅の一角の盛り塩をうっかり掃除機で吸い取ってしまった。
別にいいかと思い、そのまま続けて四隅の盛り塩を掃除機で全部吸い取った。
さらにその2年後、同じ専門学校に入学してきた大阪出身の後輩が僕の部屋に遊びに来た。(僕は留年を繰り返し、まだ卒業できずにいた)
僕はテレビを点けようとリモコンのスイッチで電源を入れようとしていたが、一向にテレビがつかない。おかしいなあと思っていると、その後輩が急に「すいません、先輩。ちょっと僕失礼します。」と部屋を出て帰ってしまった。
来たばっかりですぐに帰るなんて変だなあと思っていたが、特に気にも留めずそのまま時は過ぎた。
それからしばらくして、専門学校中に僕のアパート、特に僕の部屋には幽霊が出ると噂が広まっていた。
それと同じ頃から僕の部屋のテレビが勝手につき始めた。
しかも勝手にテレビがついたときは音量が最大限になったいた。
夜中にテレビが勝手に点いたときは、大音量の砂嵐の音が「ザー」と流れるのでビビりまくった。友達が遊びに来ているときも急にテレビがついて、友達が怖くなって帰ってしまうことが多々あった。
僕は、自分の部屋に幽霊が出ると言っている人を突き止め、「誰が僕の部屋で幽霊を見たって言ってるんだ?」と聞くと、以前部屋に遊びに来てすぐに帰った大阪の後輩の名前が出てきた。僕はすぐにその後輩のところへ行って、僕の部屋で幽霊を見たのか聞いてみた。
その後輩は
「先輩の部屋に遊びに行った日があったじゃないですか?あの日、先輩がテレビをリモコンで点けようとしてるのに、全然点かなくて悪戦苦闘しているときに、僕、何気なしにふっと先輩の部屋のクーラーを見たんですよ。そしたら、おばさんがクーラーから顔を出していたんですよ!僕、生まれて初めて幽霊を見ました。しかも、そのおばさんと目が合ったんですよ!それで、とっさに先輩を怖がらせないようにすぐに部屋を出たんですよ。」
とのことだった。
それからは、僕にはその幽霊は見えないが、クーラーが気になって仕方がない。
1年生の時に同期のやつが「空調のところがやばい」と言っていたのを思い出す。
大阪の後輩はそいつとは面識も会ったこともないはずだから、
話を合わせることはまずない。
なぜだ。なぜ、俺のクーラーから幽霊が出てくるのだ?
テレビは相変わらず、勝手に点いては、大音量の砂嵐で僕を悩ませる。
僕の部屋で幽霊を目撃してしまった大阪の後輩は、その後も霊が見える体質になってしまったらしく、怖い体験をするたびに僕に報告に来ていた。
僕は自分の部屋の勝手に点くテレビと空調が怖い。
じっと自分の部屋の空調を見つめ、「いるのか?」などと独り言を言うこともあった。
そうしているうちに、大阪の後輩からこんな言葉が。
「先輩、もう幽霊はこのアパートには来ませんよ。ぼく、このアパートの下にある民家の庭にある井戸から幽霊が出てきているのを見たことがあるんです。きっとあの幽霊が近くのこのアパートに来ていたんですよ。」
たしかに、僕の部屋のベランダからもその民家が見える。
その庭の井戸も確かにあった。
後輩はさらに
「この前、そこの井戸を工事で埋めていたんですよ。だから。もうあの幽霊はこのアパートに来ないと思います。」
まじか?
でも、その後本当にテレビが勝手に点くことはなくなった。
この話はここで終わるが
某番組で的場浩司さんが「クーラーから悪魔が顔を出していたのを見たことがある」と言っていた。
クーラーって何か異世界のものが通りやすい構造になっているのだろうか?
また、ある知り合いから聞いた話だと、井戸の埋め立ては業者は嫌うと言っていた。
さて、これまで幽霊を見た人の話を3つに分けて話してきた。
本当に幽霊は見える人には見える。
しかし、僕には幽霊は全く見えない。
幽霊は見えないけど“幽霊を見た人”は見たことがあるから、
幽霊は本当にいるのだなあと信じてはいる。
皆さんはどうだろうか。
信じる・信じないはあなた次第です!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ではまた。