3回目のМ-1挑戦へ・・・
2010年、最後のМ―1のエントリーが始まった。
審査員長である島田紳助さんが今年をもってМ―1は一区切りと発表していた。
僕はエントリー用紙を持って去年一緒に出場した後輩のもとを訪ねた。
その日はその後輩の部屋で一泊する予定。
着いて早々、いきなりМ―1のことを切り出すのではなく、
「いやあ、久しぶりだなあ」などと馬鹿っぽい話をし続け、
2人で近所の居酒屋へ。
そこでも他愛のない話をしながら酒を飲み、後輩のアパートへ帰った。
そして一息ついたところで、このタイミングで
おもむろにエントリー用紙を差し出した。
相方はゲラゲラ笑いながらをの用紙を破り捨てた。
そのあと、こんなこともあろうかと3枚ほどプリントアウトしていた同じ用紙を僕が差し出したので、相方は吹き出しながら快く、М-1出場を承諾してくれた。
この後輩が2回目のМー1挑戦を受諾する一連の流れが
何かすごく幸せな記憶のワンシーンなのだ。
さて・・・それはさておき、問題はネタである。
以前は大変シュールな領域でできもしない味を出そうとして失敗したため、
もっとわかりやすい設定にしようと、僕がすでに考えたネタを差し出した。
「桃太郎」のネタである。
A4に書かれたネタを相方がじっと眺める。
「いいんじゃない?」
一度Ⅿ-1に出た二人だから、慣れたもんでさっそく立ち稽古に入った。
実際、漫才どころか人前で芸をしたことがない人にとっては、この練習をすることさえ初めは恥ずかしさから躊躇するものだ。
それがこの二人にはなく、すぐに立ち稽古に移れたことに若干の成長を感じた。
しかし、そのネタ・・・
「桃太郎」はいいのだが、中身は「桃太郎についていく動物が蛇だったら」というネタだったのだ。結局二人はシュール好きでおおよそ経験をたくさん積まねば見ている者がが納得できる完成度の高い芸はできないのである。
しかし、二人はそのネタで練習した。
今回は違う。
ネタのやり取りでケンカもしたし、アパートの中だけでなく実際に舞台を借りて練習をしたりもした。
そんなこんなで迎えた当日。
いつも通りにエントリーフィーを支払い会場に入ると、山本佳代さんが来ていた。
喫煙所に行って二人でタバコを吸っていると、
ワタナベエンターテイメント九州のブルーリヴァーさんやWESTのコマーシャルに出ているレモンティーさんなどがいる。福岡会場では随一のコンビたちに囲まれ一緒にタバコを吸っていた。
そして、いつも通り通路に並び自分たちの出番を待つ。
去年ほど緊張はしていない。
自分たちの前のコンビが舞台に出ていった。
めちゃくちゃすべっている。
そして、僕たちの出番だ!
出囃子とともに出ていったが、わざと勢いよく飛び出すのではなくて、悠々とベテランらしく振舞いながらセンターマイクへ向かった。
その様子がおかしかったのか、なぜかこちらが話す前に小さな笑い声が客席から聞こえた。
そして、冒頭で桃太郎の入りをすると、客席からクスクス笑い声が聞こえる。ネタで受けるタイミングではないので、なぜ笑っているのかやや気になったが、ネタを進める。
2分間のネタを間違えずに、これまでの漫才の中では一番落ち着いてやれた。
後で知ったことだが、僕たちのグループには、やたら「桃太郎」をテーマにした漫才が出ていたので、僕たちが「桃太郎」のワードを出した時に客席は「また桃太郎か?」的な笑いが生じたのだそうだ。
そして、僕たち二人は最後まで出場者のネタを見ていた。
ブルーリヴァーさんはすごく上手で福岡の会場を大爆笑に包んでいた。
やっぱり違うもんだんなあ。
そして結果を聞いて会場を後にした。
もちろん落ちていた。
でも、とても楽しかったし、この相方と組んでМ―1グランプリに出てよかったと感じた。
その後М―1はいったん終わってしまったし、相方も結婚して遠くに行ってしまった。
僕にとってはかけがえのない思い出だ。
また、あの会場と興奮、緊張の場に出てみたいと性懲りもなく思っているハマサンスなのであった!
そう、お題スロットにある「もう一度行きたい場所」とはМー1会場なのである!
一緒に出ようなんて酔狂な奴は周りにはいない。
また、いつか挑戦するときがあるのだろうか!?
最後まで読んでいただきありがとうございました!
また、別の記事も興味があれば読んでくださいね!
ではまた!