ハマクラシー君、僕だよ、ハマサンスだよ。
さっそくだけどニュースを見たかい?
「ちびまる子ちゃん」の原作者であるさくらももこさんが亡くなられたそうだ。
53歳だったんだな。
ハマクラシー君、覚えているかい?
僕たちが中学3年生のときに「ちびまる子ちゃん」が面白い、面白くないで口論になったことがあったな。
覚えてないだって?
馬鹿を言っちゃあいけないよ。
僕は、よーく覚えているよ。
さくらももこの書く文章の面白さを君がわからないわけがないと思っていただけに、君が「面白くない」などと言うから歯がゆさと残念な気持ちが入り交じり君と口論したんだ。
・・・・今夜は寂しい気分だよ。ハマクラシー君。
君は幼稚園からの付き合いだ。いやかもしれないが、今夜は僕のさくらももこさんの作品の思い出話に付き合ってくれないか?
中学時代にさくらももこさんの事で価値観をぶつけ合った君にこそ聞いてほしいのだよ。
君も知っている通り、僕はマンガ好きだが少年ジャンプ以外の漫画は読んだことはない。少女漫画なんて読んだことがなかった。
小学校6年生の時だったかな。日曜日の夜に放送していたテレビアニメが最終回で終わって次回から「ちびまる子ちゃん」が始まる告知がテレビで流れたときに、その場にいた年上のいとこの姉ちゃんや兄ちゃんたちが「おお!ちびまる子ちゃんが始まるのか!?」と一斉に驚きの声を上げたのを今でも覚えているよ。
自分は「なんだ?そんなにこれ面白いの?」と聞くと、みな「すっごい面白いよ!」と答えていたなあ。
いとこの姉ちゃんや兄ちゃんたちは「りぼん」を買っていて読んでいたんだろうな。
それからテレビを見て僕はすごい衝撃を受けた。
話の内容が当時小学生だった自分にとってすごい共感できるし、ツッコミ的なナレーションとの掛け合いが面白過ぎた!
本当に毎週日曜日が楽しみで仕方なかったのだよ。
さて君も知っての通り、その後僕は家族と別れ一人博多にあるカトリックの修道院に入ったよな。だから、日曜日のテレビが見れなくなったのだよ。
せめて漫画だけでも読みたいと思い、書店で買おうと思ったが、男の子の自分が少女漫画をレジに持っていくのは正直恥ずかしかったものさ。でもそれくらいほしかったんだ!
修道院の先輩もちびまる子ちゃんの名台詞「いいじゃん、いいじゃん、プップクプー」を当時連呼していたのを覚えているし、今でもどうかしたら僕が言うときだってあるくらいだよ。
修道院にいたおかげでテレビは見れなかったが、漫画を読んだり、テレビアニメでは主題歌を歌っていたBBクイーンズのCDをレンタルしてカセットにいれて聞きまくっていたよなあ。
コミックスも本当によかった!なるほど、この部分がナレーションになっていたのかと理解できたし、なんとも言えない味がやはり本にはあった気がするな。
岡田あーみんの「お父さんは心配性」との合作は気が狂うぐらいに笑い転げた記憶があるぞ。
そういえば、君は岡田あーみんの作品も否定してたな!?
いったいどういう価値観をしているんだ。きみってやつぁ。
まあいいや。それでだな。そのさくらももこさんがエッセイを出したのだよ。
「もものかんづめ」だ。君も名前くらいは聞いたことがあるだろう?
この文章を読んで、心底「文章でこんなに人を笑わかす事が出来るんだ!」と衝撃を受けたもんだったよ。
人生で初めて読んだエッセイが「もものかんづめ」で本当に良かったと思う。
僕はその後もさくらももこがミュージックバンドの「たま」の一員と付き合っていたとか、岡田あーみんが旦那さんだとかの都市伝説をいちいち頭に引っ掛けながら生きてきた。
最近だってそうだ。
僕の大好きなザ・イエローモンキーのボーカル吉井和哉さんがカヴァーアルバムを出したときにCDの帯にコメントを描いていたのは同じく静岡出身のさくらももこさんだった。
僕の好きな人たちはどこかでつながってきちんと「線」になっている気がする。
バンドの「たま」だって大好きだし、岡田あーみんの漫画も大好きだ。
ハマクラシーはスカイパーフェクトTVなんかは見てるかい?
その中のチャンネルの「アニマックス」で第1期のちびまる子ちゃんが放送されているのだが、うちの8歳の長男や4歳の双子の娘もたいそう面白がってみているぞ。
これは親である僕にとってもすごくうれしい事さ。さくらももこの作品の面白さを肌で感じれる感性がうちの子供たちに受け継がれていて安心したよ。
さて・・・長らく話を聞いてもらって悪かったね。ハマクラシー君。
でも、あのさくらももこさんのクレバーな笑いと冷静な計算は君に似通っている部分も少なからずあるぞ。
大人になった今、改めて見てみてはどうだい?
きっと肌が合うと思うんだがなあ。
ではそろそろ眠るとするか。
まあ、今夜はつい寂しい気持ちから君に長話を聞いてもらうことになってしまったが許してくれ。
またゆっくり話を楽しもうじゃないか。
ではおやすみなさい。
さくらももこさん。どうぞゆっくり休まれてください。
いままで楽しい笑いをありがとうございました。
心かららご冥福をお祈りいたします。